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#4 
 
 
#4 レッドウッド国立公園:巨木の樹林
若林 茂
写真:朝靄に包まれたレッドウッドの樹林
http://www.nps.gov/redw/home.html
 
 
 
  もう10年近く前になりますが、カルフォルニア州の中部にあるセコイア国立公園を訪れた時の記憶が、今もって私の脳裏に鮮烈に残っています。
  セコイアの巨木で有名なこの国立公園のビジターセンターで見た解説映画の導入部は、ギリシャのパルテノン神殿が映りだされ、意表をつくものでした。
  要するに、現存する地球上の最も古い樹木は、パルテノン神殿が隆盛を誇っていた紀元前3世紀頃から生育しており、それはカルフォルニア州北部に散財するブリストル・パインという事でした。
  また同地域に分布するジャイアント・セコイアのシャーマン将軍と命名された巨木は樹齢およそ2700年。高さ約83m根本の直径は11m、根本の周囲は31mにもあります。
  これと対照的なのが高さを誇るレッドウッドであり、こちらの樹齢は、二千年余りですが最大のものは120mあります。
 
   館内の展示パネルには、世界一の巨木群はここセコイア国立公園にあるが、世界一の高木群はカルフォルニア州北部にあるレッドウッド国立・州立公園に現存しているとの事でした。
  それを知って以来、いつの日かその地を訪ねてみたいと胸に秘めていましたが、偶然にもそれがこの夏に実現しました。
  レッドウッド国立公園は、オレゴン州と接する北カルフォルニアの太平洋岸にあります。地理的にはかなり不便な地域にあります。
  大きな国際空港は、南からアクセスするならば、サンフランシスコになります。定期バス等は存在しませんからレンタカー利用になります。距離は約340マイル=544キロです。
  また北からアプローチするならば、オレゴン州の最大都市であるポートランドになります。こちらからですと、約320マイル=512キロです。

レッドウッド国立・州立公園内の巨木
http://www.nps.gov/redw/faq.html
 
  今回、私は日本からのゲスト3人を同乗してシアトル郊外レドモンドの自宅から、愛車トヨタ・ラブ4を運転して旅立ちました。
  I−5(インターステイト5号線)を南下して、オレゴン州の州都セーラムまで、途中レスト・エリアでコーヒー・ブレイクやトイレ休憩したりしながら、軽快に走り抜けました。
 

セーラムにあるオレゴン州議会
セーラム公式サイト http://www.el.com/to/salem/
 
  セーラムは、人口規模11万人弱という中小都市ながらポートランドとユージンの中間に位置する州都でもあります。
  ここで長旅の疲れをゆったりとって貰うため、二日間休養してもらいました。その後で、I−5をオレゴン大学で有名なユージンまで南下して、州道126を西に向かい太平洋岸のフローレンスを目指しました。
  オレゴン・デューン国立リクレイション・エリアに立ち寄りましたが、この砂漠のような流砂の木目細かさには、驚かされました。
  茶褐色の微細な砂山は、眺める分には確かに大自然の美しさがありますが、その上を歩くには実に難儀しました。
 

オレゴン・デューン
www.fs.fed.us/r6/siuslaw/odnra.htm
  歴史的大作映画「アラビアのロレンス」の中で主人公を演じたピーター・オトールが独白する「砂漠は美しい、そして恐ろしい」の意味が、実感として納得出来ました。
  ここでは太平洋の荒々しい潮騒の音に耳を澄ましながら日光浴をしたり、絵筆を握りスケッチに興じる人々も多数散見できます。
  またそれとは対照的にオフロードとしてジープやバギーカーを乗りこなし、サンド・デューンの上を疾走する若者も沢山見うけられます。
 
  起伏に富んだ景観を持つこのオレゴン・コーストに沿って国道101号線は延々とカルフォルニア州のロサンゼルスまで続いています。
  ガスや飲み物を補給したり、あるいは食事を取るレストランにはリードポート、ベンドン、ゴールド・ビーチなどで容易に見つけられます。
  我々は如何にも寂びれた漁村という雰囲気が漂うポートオファードという小さな街でランチを取る為、国道を外れて漁港の埠頭まで足を伸ばしました。
 
  運良くそこで見つけた素朴なシーフード・レストランにて食べた揚げたてのフィッシュ&チップスの美味かったこと。また冷たいシュリンプ・カクテルと熱々のホームメイドのクラムチャウダーの味も忘れがたいものでした。
  その日はオレゴン・コーストを一気に走り抜け、レッドウッド国立・州立公園のゲイトシティーであるカルフォルニア州クレッセント・シティーに宿泊しました。
  最初にビジター・センターを訪れ、最新情報を入手し、翌日のドライブ・ウエーやハイキング・コースを入念にチェックしておきました。

レッドウッドの樹林
http://www.nps.gov/redw/faq.html
 
  若い女性レンジャーが推薦してくれたヒル・ロードは、レッドウッドの森の中を通過するもので、舗装されてない土埃が煙るような山道でした。
  その途中にあるスタウト・グラブと名づけられたレッドウッドの樹林地域は、各種ハイキング・コースが整備されており、その中の1キロ程の遊歩道を、我々も歩いてみました。道すがらレッドウッドで出来た一木のベンチが置かれていました。
 

レッドウッドの樹林
www.nps.gov/redw/faq.html
  清流スミス川のせせらぎを聴きながらの散歩は、樹齢二千年の歴史を偲ばせるだけの森閑と神秘がありました。大自然に抱かれた森林浴は、人間を謙虚にさせるようです。
  山川草木に神が宿ると信じる日本人の伝統的宗教観と同じように、当地にも住みついていたネイティブ・アメリカンもまた多神教でした。
  私は大自然の荘厳さを醸し出す巨木に対して思わず柏手を叩いてしまいました。そしてこの巨木は、坂村真民さんの深遠なる詩「大木と菩薩」を、私に呼び起こさせてもくれました。
 
大木は いつも瑞々しい
それは いつも伸びようと しているからだ

菩薩は つねに若々しい
それは つねに夢を持って いられるからだ

 
(読売アメリカ旅行特集・2003年秋号)
07/29/03
 
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